レンズ

できる限り日陰を選び歩んできた人生だなあと我ながら思っている。複雑な出来事やしがらみを避けて通ってきた足跡が振り返ると残っている。自分の人柄や性格上、致し方ないものだと納得しようとするが、いざ自分というものを第三者の視点から見てみると、どこか陰鬱でつまらない人間じゃないかって心配になる。

 

一人称の視点から眺めた世界から、この人は面白い、この人はつまらない、よくもまあ自分勝手に色付けた諦観が、正しい色使いなんだと信じるもんだ。世界を見通すための一人一人が持つレンズが今までのつまらない人生の間にデコボコに形成されてしまっている。

 

第一印象や自分が思う世の理と違うことが起こると驚くのは勿論だが、それより自分のレンズに自信がなくなってしまう。20年近く賭けて創りあげた土壌が一気に崩壊するようなもんだ。だから如何にしてすれ違いが起こったのか、いろんな人のレンズを借りてレンズ同士を擦り合わせる。擦り合わせた瞬間、ボロボロとレンズの角が取れて丸みを帯び、自分のレンズは前よりクリアになったのかなって世界を見つめ直してみる、その瞬間、昨日とは違う新しい世界が見えるんじゃないかって思う。

 

当然、日陰街道まっしぐらでは他人のレンズを借りる機会もほぼ無く己を信じるしかない。自分の中で決まりきった答えしか用意できないと気づいた時、日向へ一歩踏み出すしかないんだなと諦めがついた。